無知を笑うと間口が狭まるという話
大分間が開きましたが、こんばんは。
変わらず無職の私です。
こう言うと、毎日何もせず、のんべんだらりと過ごしているようですが、常にやるべき事に追われています。
ニートはそこまで暇じゃない。意外だった。
でも、俗に暇だと言われている大学生のときだって忙しいと思っていたし、こんなものなんでしょうね。
とは言え、やはり定職についていないと、テレビを見る時間は増えます。
昼間にヒルナンデスを流してみたり、なんとなくゴールデンタイムのバラエティ番組を見てみたり。
昨晩も、とあるバラエティ番組を見ていたのですが、その番組は、その道のプロが、正体を隠して潜入し、最後に自分こそがプロですと明かすドッキリ番組でした。
最近の社長なんかもやる手ですね。「パート社員に仕事を教えて貰ったけど、実は僕が社長でした!」というアレ。
昨晩は、歌舞伎俳優として芸歴30年の女形が、ノルウェーの歌舞伎ショーに物申す!という企画でした。
蓋を開けてみれば、実際ひどいもので、タイで歌舞伎ショーを見たノルウェー人が自己流で真似したものを歌舞伎と自称しているだけなのです。
きゃりーぱみゅぱみゅを掛けながら飛び跳ねたり、美空ひばり流しながらフラフラ踊って客のビール飲んだり、日本でいうバーのショウタイムみたいな見せ物でした。
それを見て呆れ果てた歌舞伎俳優に、あえて弟子入りしたいと嘘をつかせ、芸を教わり、最後には歌舞伎俳優が女形の舞踊ステージを見せ、正体を明かすという構成。
まあ100歩譲って、内容は良いです。
最終的には騙された方も「着物を着る夢が叶った!」と喜んでいたし、貴重な体験には間違いありません。
ですが、どうしてもモヤモヤしたのが、番組のナレーション。
何故か「見たか!これが正しい歌舞伎だ!」と、無作法や無知を執拗に責めるようなナレーションだったのです。
折角、歌舞伎という狭い世界や、日本という辺鄙な島国に興味を持ってくれた方に、そんな言い方ないんじゃないでしょうか。
確かに、Youtubeで歌舞伎の動画を見てみるとか、もっと上手くやり様はあったのかも知れませんが、ほぼゼロから作り上げた情熱は尊敬に値すると思います。むしろ無知ゆえの想像力の広がりがすごい、興味深い。
さらに、日本の歌舞伎とは似ても似つかないとしても、ノルウェー人にめちゃくちゃウケているノルウェー流の歌舞伎を、そんなに馬鹿にする必要はあるのでしょうか。
(スタジオにいる人や、お茶の間でこれ見て笑ってる人の中に、ちゃんと歌舞伎見た事ある人はどれ位いるんだろう。)
「そこを馬鹿にするなら、麻婆豆腐に生卵落として食べる某CMだって、ちょー邪道だよね!?」と、関係ないものを巻き添えに怒ってしまうくらい悲しかった。
番組を盛り上げるためには仕方ないのかも知れないけれど、もっとハッピーなテレビが見たい。
日本すごい!系番組いっぱいあるけど、その自己肯定、本当に要るのかなぁ。